【無料・フリー台本】よびごえ|3分・1人用|ホラー朗読で恐怖を演じたい人へ|声の書庫

ホラー/怪談

📖 この台本について
⏱ 読了時間:約3分(900字)
👤 登場人物:女性1名(1人用)
🎭 ジャンル:ホラー/怪談
🎙 用途:朗読配信・練習・ボイスサンプル
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作品について

深夜の自室で目を覚ました女性が、どこからか聞こえる「自分を呼ぶ声」に導かれていく物語です。静まり返った夜の空気、暗い廊下、そして声の正体――日常のすぐ隣に潜む恐怖を、わずか3分の朗読で描きます。舞台は誰もが知っている「夜の自宅」であり、聞き手自身の記憶と重なるような身近な怖さが漂う作品です。

本作の特徴は、音だけで恐怖を積み上げていく構成にあります。視覚的な描写をあえて抑え、「声が聞こえる」「足音がする」といった聴覚情報を中心に据えることで、朗読という音声表現との相性を強く意識しました。最後まで明確な答えを示さない余白のある結末も、聞き手の想像力に委ねる設計になっています。

朗読の際は、全体を通して抑えたトーンでの語りが効果的です。叫びや大きな声の変化ではなく、囁くような静けさの中に恐怖をにじませる読み方が、この作品の空気に合います。声を張らず、聞き手の耳元で語りかけるような距離感を意識してみてください。

▶ 朗読のポイントを見る(朗読される方向け・クリックで展開)

① 語りのトーン

全体を通して、深夜にひとりごとを呟くような小さな声を基調にしてください。冒頭の「誰かが、わたしの名前を呼んでいる」は、まだ寝ぼけた意識の中にいる曖昧さを含ませると、物語への導入が自然になります。怖がらせようとして声を作るより、淡々と語るほうが不気味さが増します。

② 緩急のつけ方

「廊下に出ると、空気が変わった」の一文の前に一拍の間を置くと、場面の転換が際立ちます。また「一歩、近づくごとに、声は大きくなる」は、読点ごとに少しずつテンポを遅くしていくと、じわじわと迫る恐怖を表現できます。

③ 感情表現のコツ

「振り返らなければよかった」のセリフは、この作品で最も感情が動く箇所です。後悔と恐怖が混ざった震える声で、しかし叫ばず、喉の奥で押し殺すように読むと効果的です。声量を上げるのではなく、息の量を増やすことで怯えを表現してみてください。

④ ラストの処理

最後の一文は、読み終えたあとに3秒ほどの沈黙を残すことを意識してください。言葉の余韻が消えていく静寂そのものが、この作品の「怖さ」の完成形です。声をゆっくりとフェードアウトさせるように、最後の数文字を消え入る音量で読むのも有効です。


── 台本本文 ──

誰かが、わたしの名前を呼んでいる。

気がついたのは午前三時だった。枕元のスマートフォンの画面が暗いまま、時刻だけをぼんやり浮かべている。エアコンの音も止まっていた。静かだ。静かすぎる。なのに――声だけが、聞こえる。

「……おいで」

低くて、やわらかい声。母の声に似ていた。でも、母は遠い街に住んでいる。この部屋にいるのは、わたしだけのはずだった。

布団を握る指先が冷たい。空耳だと思いたかった。目を閉じて、息をひそめた。十秒。二十秒。もう聞こえない。やっぱり気のせいだ。そう思って、力を抜いた、そのとき。

「……おいで」

今度は、はっきりと聞こえた。部屋の外。廊下のほうからだ。

起き上がったのは、勇気があったからじゃない。確かめなければ、この先一秒も眠れないと思ったからだ。素足のまま床に降りる。フローリングが氷のように冷たかった。

廊下に出ると、空気が変わった。昼間と同じ廊下のはずなのに、やけに長く感じる。突き当たりの洗面所の扉が、薄く開いていた。わたしは、閉めたはずだった。

一歩、近づくごとに、声は大きくなる。

「……こっち」

扉の隙間に手をかけた。開ける。暗い洗面所の鏡が、廊下の薄明かりを反射していた。鏡の中に、自分の顔が映っている。――ただし、わたしは笑っていなかった。鏡の中のわたしだけが、笑っていた。

口が、動く。鏡の中の唇が、音もなく言葉を形づくる。

「やっと、きた」

振り返らなければよかった。だってそのとき、背中にも、同じ温度の息がかかったのだから。

洗面所の扉が、ひとりでに閉まった。

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