【無料・フリー台本】最後の電話|3分・1人用|遠距離介護で泣きたい人へ|声の書庫

感動・泣ける

📖 この台本について
⏱ 読了時間:約3分(900字)
👤 登場人物:女性1名(1人用)
🎭 ジャンル:感動・泣ける
🎙 用途:朗読配信・練習・ボイスサンプル
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作品について

遠く離れた故郷に暮らす母から、ある夜届いた一本の電話。「なんでもない、声が聞きたかっただけ」——そのひと言に込められた重さを、娘がゆっくりと受け取っていく、静かな感動の物語です。

この作品の核心は、言葉にされなかった気持ちにあります。母は多くを語りません。それでも電話口から滲み出る寂しさ、老い、愛情——そのすべてを娘が声で「読む」過程が、読み手にも深く共鳴します。

朗読は全体を通して穏やかなトーンを基調としつつ、ラストに向かって少しずつ感情が溢れるよう意識すると、聴き手の心に自然な余韻が残ります。

▶ 朗読のポイントを見る(朗読される方向け・クリックで展開)

① 語りのトーン

日常会話に近い、落ち着いた声のトーンで読み始めてください。感動作だからといって最初から感情を乗せすぎると、ラストの余韻が薄れます。「夜の九時を過ぎた頃、スマホが鳴った」という冒頭は、まるで独り言のように淡々と語ることで、聴き手を自然に物語へ引き込めます。

② 緩急のつけ方

母のセリフ「なんでもない、声が聞きたかっただけ」は、ここだけやや声のスピードを落として読んでください。この一文が作品全体の核心です。前後に一拍の間を置くことで、言葉の重さが際立ちます。

③ 感情表現のコツ

娘が「あ、ごめんね、今ちょっと忙しくて」と答えてしまう場面では、後悔が滲むようなわずかな揺らぎを声に含めると効果的です。感情を爆発させるのではなく、「堪えながら語る」演技が聴き手の涙を誘います。

④ ラストの処理

最後の一文は、読み終えた後に2〜3秒の間を取ってください。余韻の中に作品の本当のメッセージが宿ります。フェードアウトするように、息だけが残るイメージで締めくくると美しい終わり方になります。


── 台本本文 ──

夜の九時を過ぎた頃、スマホが鳴った。画面に表示された名前を見て、少しだけ、息を吐いた。

「もしもし、お母さん? どうしたの、こんな時間に」

「あ、ごめんね。なんでもないんだけど——なんか、声が聞きたくなっちゃって」

そんなこと、これまで一度もなかった。いつも用件だけを手短に話して、じゃあね、って切ってしまう人だったのに。

「どうしたの、体の具合でも悪い?」

「違う違う、大丈夫。ただ……ちょっとね、静かすぎて」

ああ、そうか。父が逝って、もう二年になる。

「あ、ごめんね、今ちょっと忙しくて」と、私は言った。言ってしまった。締め切りの資料が画面に広がったまま、私はそう言った。

「そう、じゃあいいわ。元気そうで良かった。おやすみ」

短い通話が終わって、部屋にまた静寂が戻った。スマホを机に置いて、私はしばらく動けなかった。

忙しかったのは本当だ。でも、それだけじゃなかった。電話を切るのに、一秒もかからなかった。

翌朝、仕事の合間に母へメッセージを送った。「昨日はごめん。今度の週末、電話するね」

既読がついたのは、昼過ぎだった。返信は一言だけ。

「待ってる」

たった三文字が、胸の奥に、静かに刺さった。

お母さん、ごめんね。声が聞きたいなんて、あなたが言うはずないと思ってた。そんなこと、言える人じゃないって、ずっと思ってた。

でも、歳を取るって、そういうことなのかもしれない。強かった人が、少しずつ、ただの人間に戻っていく。

週末が来たら、絶対に電話しよう。今度は、ちゃんと話そう。どうでもいい話を、長々と。

——声が聞きたい、と言ってくれるうちに。

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